一九九九年の Base Set 初版リザードンが、まだ収集棚で光る一枚として語られていたころ。多くの人がポケモン二次市場と聞いて、まず二十ドル前後のシングル、未鑑定リスト、週末の蚤の市を思い浮かべるころ。二〇二六年十月十七日に UltraBall Research が固定した報告書は、同じ配管を一本の尖塔に書き換えた。窓は二〇二六年九月十五日から十月十四日。英語・日本語カードの既知価格成約 460,549 件、金額 1 億 9,860 万ドル。最上位一パーセントの成約、すなわち 5,520 ドル以上の 4,606 件が、ドルの 64.3% を取った。本稿を貫くイメージは、尖塔の六割四分と中央値二十ドルだ。看板は「市場」と叫びたがる。台帳は金をごく狭いマスへ積み上げる。
私は UltraBall 十月版全文、同窓の会場シェア表、そして TCGCharts Market Pulse(二〇二六年十月十六日の週)のローテーション数値を突き合わせた。本稿が引用するのは、確認した公開数字だけだ。朝稿は Magic の薄い市場のパーセント神話を扱った。本稿はポケモンに移し、ドルが実際にどの段に載るかを書く。

一、既定文法の「市場」という言葉と、最上位一パーセントが取る六割四
業界の既定ロジックはきれいだ。だから怠惰でもある。
ポケモン二次市場の話になると、既定の物語はほぼ自動で立つ。中央値を見る。未鑑定シングルの件数を見る。未鑑定リストが賑わっているかを見る。中央値成約は二十ドル。二十ドル未満は成約の 49.6%、二十二万八千件超。既定ロジックはそこでほぼ成立する。成約の半分が二十ドル未満なら、物語は大衆市場になり、蚤の市がいまだ価格発見を主導している話にもなりやすい。
UltraBall は同じ成約を金額で並べ替える。最上位一パーセントは 64.3%。最上位十パーセントは 90.2%。25,000 ドル以上は 1,124 件だけで成約の 0.2%、だがドルの 45.1% を取る。二十ドル未満の半壁は、合わせてわずか 0.86% の金、約 171 万ドル。中央値は成約回数の床を描く。尖塔はドルの行き先を描く。二つの読みは「市場」という語を共有し、二つの問いに答える。
十万ドル超の 217 件を外しても、物語は大衆市場へ戻らない。その 217 件は約 4,778 万ドル、全ドルの 24%。除去後の約 1 億 5,090 万ドルでも、最上位一パーセントはなお 53.8% を取る。尖塔は七桁・八桁の単発オークションだけに頼っていない。その層を除いても、五桁と高い四桁の成約が金を上へ押し続ける。

二、鑑定紙が九割二を取り、四つの月曜日が Fanatics の四割三を支える
件数とドルは、鑑定の切り口でもう一度割れる。
未鑑定は 304,712 件、成約の 66.2%、ドルは 7.8% のみ、中央値十ドル。鑑定は 155,837 件、成約の 33.8%、ドルの 92.2%、中央値 102 ドル。鑑定中央値は未鑑定の約十倍。件数だけを見ると未鑑定が市場の本体に見える。ドルを重ねると、場面は鑑定櫃の尖塔に近づく。カウンターで早く動く生カードと、台帳で金を積む PSA スラブは、二つの帳簿に属する。
会場シェアは尖塔をより具体にする。eBay は成約の 89.9% とドルの 47.9%、中央値約 19.99 ドル。Fanatics Collect は成約の 9.6% に過ぎないがドルの 42.7%、中央値約 26.40 ドル。Alt は成約 0.5%、ドル 9.1%。Goldin のカバレッジはさらに薄い。Fanatics のドルはほぼ四つの月曜日に詰まる。九月二十一日、九月二十八日、十月五日、十月十二日の四回の日曜夜オークションが合計約 7,998 万ドル、当該会場の窓内ドルの 94%。週一のオークション夜だけで、月の会場表を書き換えられる。eBay は件数と中央値を担う。Fanatics の四つの月曜日は尖塔を上へ押し上げる。
カード+グレード組み合わせで切ると、成約のある 77,022 組み合わせのうち上位一パーセント(771)がドルの 55.9%。カードと印刷版では、成約のある 26,571 枚のうち上位一パーセント(266)が 54.9%。209 枚(成約カードの 0.8%)でドルの半分が揃う。上位十枚は 8.3%、上位百枚は 36.3%。集中度は「単発成約」「カード+グレード」「カード面」の三つの順位で繰り返し現れ、数字は少し揺れるが形は変わらない。

三、ゴールドスターミズゴロウと初版リザードン、旧セットが同じ週にローテーションを書く
64.3% という総シェアだけを見つめると、物語は「金が集中している」一句に狭まる。最もドルを取ったカード面にカメラを向けると、尖塔の上に誰が立っているかが見える。
窓内ドル最多は *Mudkip ☆*(Team Rocket Returns、2004)、約 233 万ドル、51 件、中央値約 19,800 ドル、うち PSA 10 が当該カードの約 44% を担う。初版 Base Set リザードンは約 190 万ドル、わずか 18 件、中央値約 20,700 ドル、PSA 10 が約 73%。*Rayquaza ☆*(Deoxys)約 190 万ドル。*Torchic ☆* 約 174 万ドル。Aquapolis の Lugia 約 169 万ドル、646 件、中央値約 255 ドルで件数で金額を積む。セットでは Legendary Collection(2002)が最多、約 1,388 万ドル、全体の 7.0%。上位十セットのほぼすべてが 1999〜2011 年印刷。Ascended Heroes(2026)は 16,503 件で上位二十五に入れるがシェア約 1.1% で、伝説のコレクションの七ポイントとは桁が違う。
カード+グレード組み合わせの首位はさらに露骨だ。初版 Base Set リザードン PSA 10 が単発 1,385,274 ドルで組み合わせ一位。Legendary Collection リバースホロリザードン PSA 10 が二件で合計 126 万ドル。Mudkip ☆ PSA 10 が単発 102 万ドル。上位十組み合わせはすべて PSA 10。尖塔の先端の形は、少数の完璧スラブが少数のオークション夜に再値付けされる姿だ。
TCGCharts Market Pulse(二〇二六年十月十六日の週)は、同じ窓のローテーションを対照に書く。二〇一一年前の PSA 10 は中央値カードが三十日で約 36.7% 上昇。二〇一一年以降の PSA 10 は中央値約 7.3% 下落。Pokémon 200 指数は 2,911、二週間で約 +5.0%。Grail 25 は約 −0.6%。センチメントは Fear 39。指数の戻りは旧カードが担い、モダンとピカチュウ比重の高い Grail 線は退く。UltraBall の集中度表は金の積み場所を説明し、TCGCharts のローテーション表は同じ期間にどのスラブが上げ、どれが譲るかを説明する。二表を重ねると、十月のポケモン二次現場は、広いモダンスラブから低人口の旧セットとゴールドスター線へドルが移る姿に近づく。


四、還流、まずドルの段を読み、次に成約件数を読む
このデータが書き換えるのは、二次現場での「ポケモン市場」四文字の既定指示対象だ。
ネタバレ前、市場は中央値二十ドル、未鑑定が件数の三分の二、eBay が成約九割と書けた。十月十七日の UltraBall 報告は、最上位一パーセントを 64.3%、鑑定をドルの九割二、Fanatics の四つの月曜日を会場ドルの四割三、209 枚を半壁の金と書く。数字は次版でも揺れる。中央値、未鑑定件数、eBay シェアは尖塔と一緒に消えない。それらは成約回数を描く。尖塔はドルを描く。
この三十日が台帳に書いた乗数は、鑑定スラブ×オークション夜×ごく短いカード名簿だ。単カード神話は視線を集める役割だけを担う。その下に並ぶのは、二十ドル未満ドルシェア 0.86%、鑑定ドル 92.2%、四つの月曜日が支える Fanatics シェア。ポスターを剥がせば、集中度表は残る。
一本の手がかりだけ追うなら、三頁を同時に開く。UltraBall 十月集中度報告で 1.986 億、64.3%、十万以上除外後 53.8%、209 枚の半壁を確認する。同頁の会場表で eBay 47.9% ドルと Fanatics 42.7%、四つの月曜日 94% を確認する。TCGCharts Market Pulse 十月十六日週刊で旧 PSA 10 中央値約 +36.7%、モダン約 −7.3%、Fear 39 を確認する。数字は揺れ続ける。一九九九年から刷られた紙は、すでに十月のドル段で値を付け直されている。値が支払いと人口に追いつくかは、別帳簿だ。
結び、二次市場の独立、中央値で大衆成約と尖塔ドルを合算しない
Mudkip ☆、初版リザードン、Legendary Collection、四つの月曜日を二〇二六年十月のポケモン二次現場に戻すと、それはより隠れた読みの惰性を打つ。人は中央値を市場温度に直訳しがちで、成約件数が最多の会場を価格決定中心に祭りがちだ。未鑑定が件数の三分の二、eBay が成約九割という二行が「大衆市場はまだここにある」一句を共有すると、惰性が固まる。
公開データの反例は具体的だ。460,549 件、1.986 億ドル。最上位一パーセント 4,606 件が 64.3%。十万超 217 件を除いても 53.8%。上位 266 枚が 54.9%、209 枚で半分。二十ドル未満は成約 49.6% でドル 0.86%。鑑定は成約 33.8% でドル 92.2%。Fanatics は成約 9.6% でドル 42.7%、その 94% が四つの月曜日。Mudkip ☆ 約 233 万、初版リザードン約 190 万、Legendary Collection 約 1,388 万。TCGCharts 旧 PSA 10 中央値約 +36.7%、モダン約 −7.3%。具体なのは、ドル段・鑑定シェア・オークション夜を見るよう求めるからだ。中央値と成約件数は手がかりであり、判決ではない。
ここでの独立は、こう定義し直せる。独立とは、同じ十月のテープの中で帳簿を分け続けることだ。大衆成約件数は一冊、尖塔ドルは別冊。eBay の中央値と Fanatics の月曜日も分けて書く。観察リストを作るときは、まず上位二百九枚にどのカードが入り、どのドルが鑑定スラブ由来で、どの会場シェアが四回のオークション夜に支えられているかを書き、そのうえで「市場が賑やか」五文字に現金を出すかを決める。
実行できる短い指示は次のとおり。
- 中央値を読むときは、成約件数とドルシェアを二列に分ける。二十ドル未満が件数の半分でドル 0.86% なら、中央値をノイズ床として扱う。
- 「市場が上がっている」を読むときは、鑑定と未鑑定の対照を開く。92.2% 対 7.8% のドル分裂の方が、総成約件数より金の行き先に近い。
- 会場シェアを読むときは、Fanatics の四つの月曜日を単独表にする。成約 9.6% 対ドル 42.7% は、週次オークション夜が月の台帳を書き換えうることを示す。
- 単カード神話を読むときは、カード面ドル、カード+グレード、セットシェアを同時に確認する。五十一件の Mudkip ☆ と一件の初版リザードン PSA 10 は、二つの尖塔形だ。
- ローテーションを読むときは、UltraBall 集中度と TCGCharts の旧/モダン PSA 10 中央値騰落を並べる。集中度は金の積み場所を、ローテーションは誰が上げ誰が譲るかを示す。
十月の集中度表はなお約二億ドルを尖塔に書き、ポケモン二次現場は二十ドル中央値を価格決定権にねじ上げてはいない。ゴールドスターミズゴロウと初版リザードンを見つめる人にとって、カード面はなお 2004 と 1999 の旧印刷だ。二次市場は三十日で最上位一パーセントをドルの六割四に書いたが、成約の半分はなお二十ドル未満に留まる。誰かが示したのは、ドルは尖塔の上で神話になりうること、そして中央値と成約件数はもともと二つの帳簿に属することだ。

出典と関連リンク
UltraBall Research, Where the money goes in the Pokémon card market(October 2026)
TCGCharts Market Pulse, Week of 16 October 2026
pokemontcg.io Mudkip ☆(ex7/107)
pokemontcg.io Torchic ☆(ex7/108)